有名になってからでは手遅れ!?商標をいま出願しなければならない3つの深い理由

商標とは、商品やサービスについて使用される文字や図形などのことで、他の商品サービスとの違いを識別する機能を果たします。

例えば、「スーパーマリオブラザーズ」や「乃木坂46」など、世間で知られている商品名や組織名称などの大多数は商標登録されており、その名称を頼りに顧客は高い品質を信頼して対価を支払うことができます。

商標とは

この様に、典型的な商標とは商品やサービスの名称ですが、それ以外にも図形や記号なども含まれる場合や、さらには、文字と図形の組み合わせからなる商標もあり、最近ではあ音や色彩などの商標も登録されています。

商標の登録出願の際には、対象となるサービスや商品を特定します。1つの商標を登録すると、登録の際に指定した商品やサービスで、登録した商標を独占的に使うことが出来るという権利が発生し、この権利が商標権と呼ばれる権利です。これによって、自分の登録商標と同一または類似した表示を、同一または類似した商品やサービスで他人が使っている時には、差し止め請求や損害賠償請求をすることが出来る様になります。

逆に消費者は商標を目印に商品を購入したり、サービスを受けたりすれば良いため、品質の低い商品やサービスを買わされるという心配がなくなります。

商標登録は早い者勝ち

特許権や意匠権は新しい創作物である必要があります。今までになかった新しいものだからこそ、登録の価値があると考えられるためです。これにより、新しい発明や意匠を創り出してもらって、ビジネスを活性化することが期待されています。

これに対し、商標には新しさや創作性は求められません。商標は創作物ではなく、世の中にある文字や図形などから選んだものとされています。登録要件としての新しさが求められないことから、出願前に誰もが知っている商標でも、誰かが先に登録していないなどの他の条件が揃えば登録され、それゆえ「早い者勝ち」の実情が生じています。

商標の先使用権は要件が厳格で使いにくい

知的財産権には権利ごとに程度の差こそあれ、「早い者勝ち」のルールがあるため、権利者よりも先に使用を開始していた方を守るための制度として先使用権が存在します。

商標の先使用権とは、ある他人の登録商標について、その商標を出願する前から、自己がこれと同一又は類似の商標を使っており、かつそれが周知(自己の業務にかかる商品・役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていること)になっている場合に、引き続き自己の商標を使うことが認められる権利を言います(商標法32条)。

先使用権が認められる要件は、以下のとおりです。

  • 他人の商標登録出願前からその商標を使用していたこと
  • 不正競争の目的ではない使用であること
  • その商標が自己の業務にかかる商品・役務(サービス)を表すものとして需要者の間に広く認識されていること
  • 継続してその商品・サービスについてその商標の使用をしていること

この内、自社の商標が、他人の当該商標の出願時に「需要者の間に広く認識されていること」という要件を裏づける事実の立証は相当に困難であり、先使用権が認められることは非常に少ないのが実情です。

不正競争防止法にもご注意を

商標権を取得すればその名称は自由に使える、というわけではありません。商標権は取得できる商品・サービスの範囲が限定されています。そのため、冒頭で挙げた「スーパーマリオブラザーズ」や「乃木坂46」などの著名な表示もすべての商品・サービスはカバーできないため必ず取得されていない商品やサービスがあり、こうした領域でこうした著名な表示の商標を取得すること自体は可能です。

しかし、商標権を取得すればその名称は自由に使用できる、というわけではありません。「スーパーマリオブラザーズ」や「乃木坂46」などの全国区で有名な表示を無断で使用すると不正競争防止法に違反して使用の差止めや損害賠償を求められてしまうおそれがあります。

そのため、既に有名な表示を商標登録しようと試みるのは、仮に商標を取れたとしても使途が限られてしまいますので、注意が必要です。

商標を早く出願すべき理由①先に出願されると権利をとれなくなる

商標登録は、早い者勝ちです(これを「先願主義」といいます)。つまり、同一または類似の商品または役務について使用をする同一または類似の商標について異なった日に、二つ以上の商標登録出願があったときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができるのです(商標法8条1項)。

反対に、実際にその商標を使っていた人が、「先にその商標を使っていました」、といくら主張しても、そのような主張は特許庁では認められません。
こうして、商標は先に同じ内容を出願されてしまうと、その権利をとれなくなってしまうという不利益が余りに大きいため、早期出願が鉄則になっています。

商標を早く出願すべき理由②有名になると「ただ乗り」が続発する

新しいものを開発するよりも、人気のあるものにただ乗りする方がずっと楽なのが実情です。そのため、例えば任天堂の商標「マリオカート」の略称とされる「マリカー」が任天堂以外の企業によって商標登録されたり、政府と経団連などが推進する「プレミアムフライデー」と同じ商標が第三者によって出願されるなど、少しでも有名になり始めたものについては「ただ乗り」が続発しがちです。

ここで、先に商標出願していなければこうした将来有望な名称を横取りされてしまいますし、ただ乗り行為に対して差し止めや損害賠償請求もできず、泣き寝入りせざるをえなくなってしまう危険があるため、商標は有名になる前に少なくとも出願までは済ませておく必要があります。

商標を早く出願すべき理由③悪質業者に先取りされる

ピコ太郎さんの「PPAP」が紅白歌合戦で放送された事を覚えている方は少なくないのではないでしょうか?しかし、この「PPAP」は翌年早々に大きな問題に直面します。全く関係ない悪質業者に先に商標出願され、多額の権利譲渡代金を要求されたのです。

ピコ太郎さんはYouTubeでPPAPの楽曲を発表し、一躍人気者になりました。この人気を受けてソニーがピコ太郎さんをプロデュースする契約を締結し、「PPAP」が商標未登録であったため急いで商標出願したところ、悪質業者に先に出願されていたというケースです。

アメリカではパテントロールと言って特許を先取りして、その活用ではなく無断使用に対する損害賠償請求で利益をあげようとする企業がありますが、その商標版が日本にも実在します。こうした悪質業者に対する対抗策は「明確にある」のですが、時間や費用の負担がかかるため、悪質業者に絡まれる前に商標出願しておくことが何よりの防御策です。

間違っても商標欲しさにこうした悪質業者に対価を支払ってはいけません。それが悪質業者の資金源となり、さらに他の方に迷惑がかかってしまうためです。

商標出願が遅くなったため痛い目に遭った事例①堂島ロールの「モンシュシュ」

株式会社モンシュシュでは、販売する人気ケーキ「堂島ロール」のパッケージに「モンシュシュ」と表示していました。しかし、「モンシュシュ」については他社が商標を登録していたため、これが商標権侵害とされ、約5140万円の損害賠償を命じられてしまいました。

しかも、この事件の途中に、株式会社モンシュシュは店名や社名をこれまでの「モンシュシュ」から「モンシェール」に変更することまで余儀なくされてしまいました。

商標出願が遅くなったため痛い目に遭った事例②「シルバーヴィラ」揖斐川

ある医療法人は、平成9年から兵庫県で「シルバーヴィラ揖保川」という介護施設を運営していました。しかし、平成18年にこの医療法人が知らないうちに、東京の会社が「シルバーヴィラ」の商標を取得しており、商標権侵害を理由に訴訟を起こされました。

医療法人は「シルバーヴィラ」や「シルバーヴィラ揖保川」の名称を商標登録しておらず、先使用権の要件も充足していなかったために訴訟で敗訴し、介護施設の名称の変更と約600万円の損害賠償の支払いを命じられてしまいました。

当センターの工夫①将来の事業化を考慮して権利の範囲を短時間で整理

商標出願はとにかく「早くした方が良い」のは間違いのない大原則です。そのため、ざっくりと先行登録商標を調査したうえで、権利化の可能性の高い商品・サービスに絞った商標出願を提案する事務所が多くなっています。権利の成立可能性が高く、拒絶理由通知を受ける回数も少なくて済むため費用も抑えることができ、一見、お得そうに見えます。

しかし、当センターは異なります。最終目標を権利化ではなく、その先の事業の成功に置くため、想定している事業内容を網羅していない狭い商標出願を拙速に行うことはあまり推奨しておりません。出来る限り早く出願するのは当然ですが、短い時間の中でもご相談者様がどのような事業展開をしたいのかを慎重に聞き取り、その事業活動のために必要な商品・サービスをすべて拾い上げ、競合となりそうな商標の登録状況をふまえて1つ1つの商品・サービスについて商標登録の可能性を吟味し、最善の出願内容をご提案させていただきます。

これにより、最短で出願するよりは若干の遅れは生じるかもしれませんが、ご利用いただいたお客様からは「将来の事業展開まで見越して権利の範囲を先取していただいたおかげでスムーズに事業活動を展開できました」といったお声もいただいています。

当センターの工夫②取れるものは取っておく。小さくまとまらずより広い権利取得を

商標出願における最大の関心事は登録に必要な「総額」であることは間違いないでしょう。この「総額」は初回相談事には目安も見積もることが難しいです。なぜなら、特許庁か何度拒絶理由通知が来るかわからず、その対応回数によって総額が大きく変動するからです。

ここで、近時の商標出願実務のトレンドとして、AIを活用して競合特許の存在を分析し、競合せずに一発で取れる分野だけの出願を提案する事務所が増加しています。

しかし、当センターは最終目標を権利化ではなく、その先の事業の成功に置くため、事業展開に必要な商品・サービスは争ってでも取り、必要ない商品・サービスは無駄に取らないことを推奨しています。そこで、出願段階では早く出願する必要性もあるため、事業展開に必要な商品・サービスを広く網羅する内容で出願し、1度目の拒絶理由通知の内容をふまえて柔軟に対応し、2度目以降の拒絶理由通知の回数を最小化して費用総額を抑えるご提案をしています。

商標出願は当センターでお早めに

商標出願は出来る限り早くする必要があります。しかし、早ければそれで良いわけではなく、その後の事業化に必要な範囲を網羅していなければ「ただ権利を取っただけ」になってしまいます。そこで、当センターではスピードを最大限に意識しながらも、必要な範囲の網羅を徹底的に意識した出願活動を行っており、権利成立後の事業展開のご相談にも幅広く対応しております。

商標を取りたいなと思われましたらアイディア段階でも全く問題ありませんので、当センターにお気軽にご相談ください。

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